嫁ぐのに持っていくもの
メディチ家は、フランス王家にカトリーヌを嫁がせるこの名誉に、ふさわしくありたいと思い、またフィレンツェの人たちもその負担に協力をした。
トスカナ(フィレンツェ)公となっていた異母兄アレッサンドロはこの結婚の為に、レース、刺繍、宝石、衣類の購入と、新婚のベッドを重いビロードと金で飾り立てるために、金貨3万5千枚を強制的に貸付させた。
カメリーノ公妃は教皇(クレメンス7世)からカトリーヌの嫁入り支度を整える任務を任されたが、フィレンツェがいくら都会といっても、マントヴァほどに絹を扱える刺繍職人が居なかったという。そこで、「(マントヴァの)イザベラ公妃に対し、必要であればもっと送ると約束した上で、黄金3斤、銀3斤、絹2斤」が送られた。
教皇は、カトリーヌの持参金としてフランスのオー・ソレイユ金貨で10万スクードを調達、他に父祖の財産を放棄する代償に3万スクードを与えた。
※スクード:イタリアの銀貨
※エキュ:フランスの金貨→銀貨、エキュとは盾を意味し、紋章の盾がデザインされていたことが由来
結婚の贈り物としては、水晶製の小箱を与えたが、これはヴィチェンツァの人ヴェレリオ・ベーリの手で、キリストの生涯の21の情景が刻まれてあった。この小箱には、8個のバラスルビーと9千スクードに値するダイヤを飾った黄金の帯、6千5百スクード分の平型ダイヤの腕輪、エナメル3重の輪をはめて、そこから真珠の飾りを垂らしたエメラルドの腕輪、そのほかに2万7千スクードの値打ちがある沢山の宝石などが納められていた。
とりわけ注目を集めたのは、クレメンス7世からの贈り物である7つの巨大な真珠だった。
この真珠は20年後にフランソワ2世の新嫁であるメアリースチュアートへの贈り物となる。
これらの贈り物に加えて、母のマドレーヌから受け継いだオーヴェルニュの家具付きの城、数えきれないほどの錦やビロードの衣装も持参した。
さらに教皇が3つの宝石を・・・と言ったとあるが、それはナポリ、ミラノ、ジェノヴァ3公国であったという。
この小箱と一緒に、黄金で飾った長さ1メートルほどの一角獣の角が、フランソワ1世に贈られたとある。この角は、国王の卓上に置くと、そばに毒があれば汗をかいて危険を知らせると言う貴重な代物だったらしい。
ルーブル美術館に並べられていた宝物を思い出したので、いつか撮った写真をつけておきました。
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